池井戸潤さんの『ハヤブサ消防団 森へつづく道』をAudibleで聴きました。
前作『ハヤブサ消防団』は本で読み、その後Audibleでも聴いたお気に入りの作品です。
結論から言うと、前作と今作のどちらが好きかと聞かれれば、自分は前作。
それでも『森へつづく道』を聴き終えたときに思ったのは、
「またハヤブサに帰ってこられてよかった」
ということでした。
少したくましくなった三馬太郎、相変わらず個性的な消防団のメンバー、そして居酒屋「サンカク」。
前作が好きだったからこそ楽しめる、続編ならではの魅力がありました。
この記事ではネタバレをできるだけ避けながら、『ハヤブサ消防団 森へつづく道』をAudibleで聴いた感想、前作との比較、前作を読んでいなくても楽しめるのかなどについて書いていきます。

『ハヤブサ消防団 森へつづく道』を聴いてみた結論
- 前作と比べると?: 個人的には前作のほうが好き
- キャラクター: 消防団のメンバーは今回も魅力的
- 前作未読でも大丈夫?: 楽しめるが、前作からのほうがおすすめ
- Audible: 自分は1.7倍速で快適に聴けた
- 注意点: 登場人物が多いので、ときどき戻って確認したくなる
- 続編として: またハヤブサの人たちに会えたことが嬉しい
前作ほどの衝撃は感じなかったものの、シリーズが好きな自分には満足できる続編でした。
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売れっ子作家になった三馬太郎がなんだか嬉しい
今作でまず嬉しかったのが、主人公・三馬太郎の変化です。
前作では駆け出しの作家だった太郎が、今作では売れっ子作家になっています。
「おお、売れっ子になったんだ」
と、知り合いの活躍を見るような嬉しさがありました。
前作から知っている人物が成功している姿を見ると、なんだかこちらまで嬉しくなります。
しかも、作家として成功して、以前よりたくましくなっているのに、太郎の人間性そのものは変わっていない。
そこもよかったです。
こういう感覚は、前作から続けて読んでいるからこそ味わえるものかもしれません。
やっぱり魅力的なハヤブサ消防団のメンバーたち

自分がこのシリーズで特に好きなのが、消防団のメンバーたちです。
とにかく個性豊かで、距離が近い。
田舎ならではの濃い人間関係で、現実だったら少し面倒に感じることもありそうですが、このメンバーたちを見ていると楽しそうに思えてきます。
そして『ハヤブサ消防団』が好きな人なら、一度は思うのではないでしょうか。
ナギ居酒屋「サンカク」に行ってみたい。
消防団のメンバーが「サンカク」に集まって、あれこれ話している。
事件の真相を追う場面だけでなく、そんな何気ないやりとりもこのシリーズの楽しみです。
ミステリーなのでシリアスな話も多いのですが、キャラクター同士のやりとりがあることで重苦しいだけにならない。
謎を追う面白さと、ハヤブサで暮らす人たちを眺める面白さ。
その両方があるのが『ハヤブサ消防団』シリーズの好きなところです。
過去を紐解きながら謎に迫っていくのが面白い
前作と今作に共通して面白いと感じたのが、人々の過去を振り返りながら現在の謎に迫っていくところです。
登場人物がこれまでどんな人生を歩んできたのか。
過去に何があったのか。
一見すると現在とは関係がなさそうな出来事が少しずつつながっていく。
そうやって謎がほどけていく過程に引き込まれました。
単純に「犯人は誰だ?」だけで進んでいくのではなく、登場人物の人生や背景そのものがミステリーにつながっている。
今作でも、そこが面白かったです。
満蒙開拓団の話も強く印象に残った
過去を紐解いていく中で、もう一つ強く印象に残ったのが、満蒙開拓団として大陸へ渡った日本人たちの話です。
国の政策によって海を渡り、終戦によって生活も家族も大きく翻弄された人たちがいた。
戦争が終われば、すべてが終わるわけではない。
その後も長く続く人生まで含めて描かれているところに、重さを感じました。
この部分を聴いていて、自分の中でつながった作品があります。
山崎豊子の『大地の子』です。
『大地の子』では、中国残留孤児となった主人公・陸一心の人生を通して、満州からの引き揚げや、その後も長く残り続ける戦争の傷が描かれます。
もちろん『森へつづく道』とはまったく別の物語です。
それでも、違う作品を聴いているのに、あるところで同じ歴史につながっていく。
こういう瞬間があるのも、読書の面白さだと思います。
満蒙開拓や中国残留孤児というテーマが気になった方には、『大地の子』もぜひ触れてほしい作品です。

詳しく書くと物語の核心に触れてしまいそうなので避けますが、過去と現在がつながっていくタイプのミステリーが好きな人には楽しめると思います。
※この記事では物語の核心や結末に触れるネタバレはできるだけ避けています。
小説好きには文学賞の「待ち会」も面白い
個人的にワクワクしたのが、文学賞の発表を待つ「待ち会」の場面です。
普段は小説を読む側なので、作家や編集者たちの世界はやはり気になります。
「文学賞の発表を待っている作家って、こんな感じなのかな」
と想像しながら聴いていました。
ミステリーの本筋とは少し違うところですが、本や小説家そのものが好きな人なら、こういう場面も面白いのではないでしょうか。
主人公が小説家だからこそ描ける世界です。
ドラマ版・中村倫也さんを思い浮かべながら聴いた
前作『ハヤブサ消防団』は2023年にドラマ化され、中村倫也さんが三馬太郎を演じました。
自分の中では、この中村倫也さんが太郎のイメージにかなり合っていました。
そのため、まだ映像化されていない『森へつづく道』をAudibleで聴いていても、頭の中に出てくる太郎は完全に中村倫也さん。
脳内で勝手にドラマの続編が再生されていました。
小説なら自分で登場人物を想像できますが、一度映像化された作品の続編を音声で聴くというのも面白いものです。
「この場面を中村倫也さんが演じたら、どんな感じになるんだろう」
そんなことも考えながら楽しみました。
今作もいつかドラマ化されるのでしょうか。
『ハヤブサ消防団 森へつづく道』をAudibleで聴いた感想

今回は書籍ではなくAudibleで聴きました。
『森へつづく道』は、書籍とAudibleが同じ2026年8月5日に発売・配信されています。
新刊を「読む」か「聴く」か、最初から好きなほうを選べるのは嬉しいですね。
自分は1.7倍速で聴きましたが、この速度で快適に楽しめました。
もちろん聴きやすい速度には個人差があるので、最初は標準速度から試して、自分に合ったところまで上げていくのがいいと思います。
登場人物が多いので、ときどき戻りたくなる
Audibleで聴いていて少し大変だったのが、登場人物の多さです。
今作は登場人物が多く、人間関係もやや複雑。
音声だけで聴いていると、
「この人、誰だったっけ?」
となることがありました。
そんなときは、そのまま進まず少し戻って確認。
Audibleでは章を選んだり、任意の位置まで戻ったりできるので、わからなくなったときは遠慮なく巻き戻して聴いていました。
登場人物を目で確認できるという点では、ここは紙や電子書籍のほうが楽かもしれません。
本で読んでからAudibleで「おかわり」するのもいい
個人的には、一度本で読んだ作品をAudibleでもう一度楽しむのも好きです。
前作『ハヤブサ消防団』も、本で読んだあとにAudibleで聴き直しました。
一度ストーリーを知っているからこそ、初見のときには気づかなかった会話や描写に目を向けられる。
好きな作品を「おかわり」するような感覚です。
読むのと聴くのでは、同じ作品でも少し印象が変わります。
今回Audibleで聴いた人が、あとから本で読み直すのもいいでしょうし、本で読んだ人がAudibleでハヤブサに戻ってくるのも楽しそうです。
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前作『ハヤブサ消防団』を読んでいなくても楽しめる?
前作を読んでいなくても、『森へつづく道』から基本的には楽しめると思います。
前作の事件は前作の中で完結しています。
ただ、個人的には前作から読むのがおすすめです。
消防団のメンバーがどんな人たちなのか。
太郎がなぜハヤブサにやってきたのか。
そして、彼らがこれまでどんな関係を築いてきたのか。
そうした背景を知っていると、今作で再び彼らに会ったときの嬉しさが違います。
特に、駆け出しだった太郎が売れっ子作家になっているのを見て「成長したなあ」と思えるのも、前作を知っているからこそ。
これからシリーズを読むのであれば、自分なら前作から入ります。

前作と『森へつづく道』、どちらが面白かった?
これは迷わず、個人的には前作『ハヤブサ消防団』です。
前作で初めてハヤブサの世界に入り込んだときのインパクトが、それだけ強かった。
のどかな田舎町に少しずつ広がっていく不穏な空気。
何が起きているのかわからないまま、徐々に真相に近づいていくスリル。
あの感覚は、今でも印象に残っています。
だからといって、『森へつづく道』が物足りなかったわけではありません。
むしろ前作が好きだったからこそ、今作を楽しめた部分もたくさんありました。
少したくましくなった太郎。
相変わらず個性的な消防団のメンバー。
そして、居酒屋「サンカク」。
新しい物語を聴いているのに、
また馴染みのハヤブサ地区に帰ってきたような感覚
がありました。
これは続編だからこそ味わえる楽しさだと思います。
前作を自分がなぜそこまで気に入ったのかは、前作『ハヤブサ消防団』の感想記事で詳しく書いています。

まとめ|またハヤブサ消防団のメンバーに会いたい
『ハヤブサ消防団 森へつづく道』は、人々の過去を紐解きながら謎に迫っていくミステリーと、魅力的なキャラクターたちの関わりを楽しめる作品でした。
前作と今作、どちらが好きかと聞かれれば、自分は前作です。
それでも『森へつづく道』を聴き終えて一番強く感じたのは、
「またハヤブサに帰ってこられてよかった」
ということでした。
ミステリーとして事件の真相が気になるだけではなく、太郎や消防団のメンバーたちがその後どうしているのかも気になる。
いつの間にか、自分にとってそんなシリーズになっていました。
そして、やっぱり一度は居酒屋「サンカク」に行ってみたい。
今作で終わりなのか、それともさらに続編があるのか。
また太郎たちに会えることを期待しています。
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