『ハヤブサ消防団』感想|Audibleでハマってドラマ版まで観た。宗教ミステリーが刺さる

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『ハヤブサ消防団』の感想記事アイキャッチ。山あいの集落と居酒屋「さんかく」、消防団のヘルメットやAudibleをイメージしたヘッドホンを描いた画像。

池井戸潤さんの『ハヤブサ消防団』。

僕はまずAudibleで聴きました。

最初は何気なく聴き始めたんですが、世界観とストーリーがかなり面白くて、そのまま一気に引き込まれました。

田舎の小さな集落を舞台に、消防団、連続放火、土地の人間関係、そして少しずつ入り込んでくる宗教的な不穏さ。

聴きながら頭の中にハヤブサの景色がどんどん出来上がっていく感じがあって、

「これ、映像で見たらどうなるんだろう」

と思ったんですよね。

そこでAmazon Prime Videoで配信されていたドラマ版も視聴。

結果として、Audibleとドラマの両方でかなり楽しんだ作品になりました。

※この記事では『ハヤブサ消防団』の物語後半についても触れています。できるだけ核心には触れないようにしていますが、軽いネタバレを含みます。

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目次

『ハヤブサ消防団』の消防団メンバーがいい

山あいの集落を見下ろす消防団の詰所。夕暮れの風景の中に消防車とヘルメットが置かれ、『ハヤブサ消防団』の田舎の日常をイメージした画像。

主人公の三馬太郎は小説家。

都会を離れ、山奥にあるハヤブサ地区へ移住してきます。

都会でバリバリ事件を追いかける刑事でも探偵でもなく、田舎に移住してきた小説家が、地元の消防団に入ったことをきっかけに事件へ巻き込まれていく。

この設定がまず面白い。

そして太郎は、地元の人たちと知り合い、やがて消防団に入ることになります。

ここ、僕は結構すごいなと思いました。

自分だったら、あれだけ誘われてもたぶん入らない。

僕は人付き合いをどんどん広げていくのがあまり得意ではないというか、どちらかというと面倒くさがるタイプなので、

ナギ

「太郎、よく入れるな」

と思いながら聴いていました。

ただ、『ハヤブサ消防団』という作品は、当然ながら太郎が消防団に入るからこそ面白い。

消防団のメンバーがとにかくいいんですよね。

太郎と年齢が近く、明るくて距離感の近い藤本勘介。

負けん気が強く、消防団を引っ張っていく宮原郁夫。

強面で寡黙だけど、仲間への情がある山原賢作。

知的な雰囲気がありつつ、どこか頼りなさもある徳田省吾。

役場勤務で副分団長でもあり、濃いメンバーたちの間を取り持つような森野洋輔。

一人ひとりのキャラクターがちゃんと立っています。

消防団というひとつの集団として描かれているのに、「消防団の人たち」でまとめて終わらない。

仕事も性格もバラバラ。

でも火事が起これば一緒に現場へ向かう。

この関係性がすごくいい。

現実に自分があのコミュニティへ入るとなったら、

「いや、ちょっと濃すぎるな……」

と思うかもしれない。

でも物語の中で見ていると、なんだか羨ましくもなってくるんですよね。

居酒屋「さんかく」に一度行ってみたい

そんな消防団のメンバーたちが集まる場所として登場するのが、居酒屋「さんかく(△)」。

ここも好きでした。

Audibleで聴いているだけでも、料理がめちゃくちゃおいしそうなんですよね。

みんなで集まって飲んで、食べて、しょうもない話をしたり、事件について話したりする。

この「さんかく」があることで、ハヤブサ地区が単なるミステリーの舞台ではなく、本当に人が生活している土地として感じられました。

事件のことだけを考えれば、かなり不穏な場所なんだけど、そこには普通の生活もある。

消防団のみんなとの時間がある。

その日常と事件の距離の近さも、この作品の面白さだと思います。

自分は消防団には入れそうにないけど、「さんかく」にはちょっと行ってみたい。

あのメンバーが飲んでいる端っこの席で、静かに料理を食べていたいです。

『ハヤブサ消防団』の宗教ミステリー要素が刺さった

霧に包まれた山あいの集落と夕暮れの風景。静かな田舎町に少し不穏な空気が漂う、『ハヤブサ消防団』の宗教ミステリー要素をイメージした画像。

そして、僕が『ハヤブサ消防団』に特に刺さった理由。

たぶん僕は、宗教的なものが絡んでくるミステリーやサスペンスがかなり好きなんだと思います。

荻原浩さんの『砂の王国』もそう。

篠田節子さんの『仮想儀礼』もそう。

もう少し広げるなら、浦沢直樹さんの『20世紀少年』なんかも、ある意味では近いのかもしれません。

最初は普通の人たちの集まりに見えていたものが、いつの間にか巨大な集団になっていく。

同じものを信じ、同じ言葉を使い、同じ方向へ進んでいく。

外から見ている側からすれば、

「なぜそこまで信じるんだろう」

と思う。

でも、その中にいる人にとっては、それが自分の居場所だったり、人生の意味そのものになっていたりする。

そういう集団の不気味さと、そこに巻き込まれていく人間の感情に、僕はどうも惹かれるみたいです。

『ハヤブサ消防団』も、最初は田舎で起きる連続放火事件を追うミステリーという印象でした。

ところが話が進んでいくと、それだけでは終わらない。

人の欲だったり、信仰だったり、それぞれの思惑だったり。

いろんなものが重なって、物語がどんどん大きくなっていく。

単純に「犯人は誰なのか」を楽しむだけの作品ではないんですよね。

そこがすごく面白かったです。

このあたりが好きだった人には、『砂の王国』や『仮想儀礼』もかなり刺さるんじゃないかと思います。

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『砂の王国』を思い出した

特に思い出したのが『砂の王国』でした。

あの作品にも、宗教がどうやって人を集めて、どうやって広がっていくのかというところがあります。

ただ「怪しい宗教がありました」という話ではなく、人が集まる仕組みや、そこにいる人間たちの欲望まで描かれている。

『ハヤブサ消防団』を聴いていても、

「こういう集団がひとつの土地に入り込んできたら、どうなるんだろう」

ということを考えました。

特に舞台がハヤブサのような小さな集落なのが面白い。

都会だったら何百人の集団が現れたとしても、その街全体から見ればごく一部かもしれない。

でも人口の少ない場所では、その人数の持つ意味がまったく違ってくる。

地域の人たちがお互いのことを知っていて、人間関係も近い。

そんな場所に新しいコミュニティが入ってきたら、その土地の空気そのものが変わっていくんじゃないか。

そんなことを考えながら聴いていました。

もちろん、「田舎だから宗教が広まりやすい」と単純に言える話ではないと思います。

ただ、人口の少ないコミュニティだからこそ、ひとつの集団が入ってきたときの影響は大きいんだろうな、とは感じます。

自分の知っている田舎とも少し重なった

このあたりは、自分の身近な経験とも少し重なりました。

僕の両親の出身地も、かなり奥にある田舎町です。

そこで、ある宗教の存在感がかなり強いというのを昔から感じていました。

もちろん『ハヤブサ消防団』みたいな事件があるわけでもないし、作品の中の教団と現実の特定の宗教を同一視したいわけでもありません。

ただ作品を聴いていると、

「そういえば、あの町でもかなり広がっていたな」

と思い出したんですよね。

人口が多くない土地で、ひとつのコミュニティが大きな存在感を持つ。

フィクションなのに、自分の知っている現実と少し重なる。

その感覚があったから、余計に作品へ引き込まれたのかもしれません。

『ハヤブサ消防団』をAudible→ドラマの順で楽しんだ

『ハヤブサ消防団』は、Audibleで聴いたあとにドラマ版を観ました。

これが個人的にはかなり良かったです。

先に音だけで物語を知っているので、自分の中ではすでに登場人物やハヤブサ地区の景色のイメージができている。

そこに実際の映像が乗ってくることで、

「あ、ハヤブサの山々や空気感ってこういう感じなんだ」

「居酒屋『さんかく』ってこんな雰囲気なんだな」

と、答え合わせをしていくような面白さがありました。

もちろん、原作を先に知っていると、実写版を観たときに

「ちょっとイメージと違うな」

となることもあります。

でも『ハヤブサ消防団』は個人的には違和感なく入れました。

中村倫也さん演じる三馬太郎もかなりハマっていたし、特に川口春奈さん演じる立木彩がすごくしっくりきました。

原作を聴いていたときに自分の中でぼんやり作っていた、

「この人はこんな雰囲気なんだろうな」

というイメージとかなり近かったんですよね。

明るさがある一方で、どこか掴みきれない感じもある。

物語が進むにつれて、

ナギ

「この人はいったい何を考えているんだろう」

と思わせるところも含めて、川口春奈さんの雰囲気がすごく合っていたと思います。

Audibleで作品の世界観にじっくり浸って、そこから映像版でさらに立体的に楽しむ。

この順番で味わえたのも、この作品が強く印象に残っている理由かもしれません。

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原作の「オルビス」がドラマでは「アビゲイル」に

原作を先に聴いていたからこそ、ドラマを観ていて気になったところもありました。

教団の名前です。

原作では「オルビス・テラエ騎士団」。

ドラマでは「アビゲイル騎士団」。

「あれ、名前変わってるよな?」

と。

オルビスと聞くと、どうしても某化粧品会社が思い浮かびます。

なので、

「さすがにテレビドラマで怪しい宗教団体の名前をオルビスにはできなかったのかな」

なんて勝手に想像していました。

もちろん、これはあくまで僕の想像です。

名称が変更された正式な理由について、僕が確認できた範囲では分かりませんでした。

ただ、原作を知ったうえでドラマを見ると、こういう細かな違いを見つけるのも面白いです。

ただの田舎ミステリーではなかった

『ハヤブサ消防団』は、最初にイメージしていたよりずっといろんな要素が入った作品でした。

連続放火事件があって。

田舎での暮らしがあって。

消防団という独特のコミュニティがあって。

宗教が絡んできて。

それぞれの登場人物にそれぞれの思惑がある。

それらが少しずつつながっていく。

しかも、題材だけを並べるとかなり重たい作品になりそうなのに、消防団のみんなとのやり取りは楽しい。

怖さや不気味さの中に、ちゃんと人間臭さがあるんですよね。

そのバランスがすごく好きでした。

Audibleで世界観にハマって、そのままドラマ版まで観た。

原作と映像、それぞれに違う良さがあって、両方楽しめた作品でした。

そして改めて思ったのは、

僕は「閉じたコミュニティに、何か得体の知れないものが入り込んでくる話」が好きなのかもしれない。

『砂の王国』や『仮想儀礼』が好きなのも、たぶんそこにつながっています。

ミステリーとして面白い。

消防団のみんなも好き。

宗教をめぐる不穏な空気も好き。

かなり自分の好みにハマった作品でした。

『ハヤブサ消防団』が楽しめた人には、続編もぜひ読んでみてほしいです。

👉続編『ハヤブサ消防団 森へつづく道』の感想はこちら

そしてやっぱり最後に思う。

消防団には入れる気がしない。

でも居酒屋「さんかく」には行ってみたい。


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この記事を書いた人

地方で暮らすアラフォー男性。

仕事や日常の中で見つけた「これは良かった!」という情報を、実体験ベースで発信しています。

最近はAudible(オーディブル)での読書・インプットにハマり、実際に聴いた本のレビューや、忙しい社会人のための「ながら読書」についての記事を中心に更新中。

映画、音楽、子育て、暮らしなど、気になったことも幅広く。
自分が実際に試して、良いと思った情報を、誰かの役に立つ形で届ける。

そんなブログを目指しています。

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